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2025.04.30

走り始めたら、仲間ができた──アシさとクラブプロジェクト発足1年で深まった「結びつき」

走り始めたら、仲間ができた──アシさとクラブプロジェクト発足1年で深まった「結びつき」

アシックスとFC今治が手を携え、スポーツを通じて地域を盛り上げるコミュニティ「アシさとクラブプロジェクト」。ランニングを始めとするスポーツを軸に、市民を巻き込んだ様々なイベントを展開しています。今回のインタビューでは、この取り組みを牽引するアシックスの山田裕也さんと、FC今治の柳原洋祐さんのお二人に、設立から1年がたったプロジェクトの今とこれからについて、じっくりと語っていただきました。


山田裕也さん(アシックス)

2024年3月より今治プロジェクト(通称「ばりプロ」)専任として同市に赴任。コミュニティ形成を通じた新たなスポーツ文化の創造に取り組んでいる。以前はマーケティング担当として野球、サッカー、バレー、バスケットボール事業に携わってきた。



柳原洋祐さん(FC今治)

パートナーシップグループ・FC今治コミュニティ室兼務。2024年5月アシックスによるスタジアム命名権取得をきっかけに発足した「アシさとクラブプロジェクト」に立ち上げから携わる。多様な人たちが安心して集まれるコミュニティを目指して取り組んでいる。


アシさとクラブ、発足1周年での広がり

山田さん:「アシさとクラブプロジェクト」の立ち上げから1年。「とにかくみんなで楽しく走ろう!」ってスタートを切った当初から考えると、いろいろ試行錯誤してきたよね。

柳原さん:そうですね。活動していく中で、参加者の皆さんそれぞれに「もっと頑張りたい」とか「自分のペースで楽しみたい」という気持ちが生まれてきて。それに応える形で、本格的に走りたい人向けの「アスリートクラス」と、もう少し気軽に楽しみながら走りたい人向けの「エンジョイクラス」ができました。最近では走ることに限定せず、座っていても体を動かして楽しめる「ウェルネスクラス」まで、プログラムの幅が広がってきましたね。

山田さん:そもそも、僕たちの根っこにあるのは、ランニングに限らず「体を動かして、みんなで健康になろう」っていう思い。ただ、今治には本格的な陸上競技場がないとか、気軽に始めやすいのがランニングだった、っていう流れで、ランニング中心のクラブとして始まった。でも、こうしてウェルネスクラスが生まれたことを思うと、僕たちが最初に思い描いていた「体を動かす楽しさ」っていう原点に、一歩近づけたのかなって感じるね。

柳原さん:まさにそうですね。参加者の中には障がいのある方、小学生、ご年配の方と、幅広い年齢層で様々な背景を持った方々がいて、みんなで一緒に汗を流しています。そんな様子を見ていると、まさに思い描いていた「スポーツを通したつながり」が、少しずつ、でも確実に生まれてきているのを感じます。

山田さん:練習が終わった後も、みんなすぐに帰らずに、あちこちで輪になって楽しそうに話したりしてね。僕らが帰りたいから「そろそろ…」とか言ったりしながら(笑)

柳原さん:参加者同士のつながりが深まってきていますよね。今治里山マラソンの開催前には、市民ランナーとして活躍している参加者が、コース攻略法をプレゼンしてくれたり、「1週間前からはこういうコンディション調整をした方がいいですよ」といった本格的なアドバイスをしてくれたり。コーチではなく参加者自身が主体的に「先生役」を務めるようなシーンも生まれてきました。

山田さん:僕なんか一番後ろをついていくだけだからね(笑)。でもそうやって、参加者が新しい人を呼んできて、今治北高駅伝部の生徒たちが来てくれるようになったり、FCI生は時には一緒に企画してくれたり。新しい輪が広がってきてると思うね。

共創から生まれてきた可能性

柳原さん:FC今治としては、異なる視点を持ったアシックスさんと「アシさとクラブ」として一緒に活動するからこそ、提供できる価値は大きいと思っています。
こないだなんてエンジョイクラスで「キャッチボールプログラム」をやりましたけど、僕らだけでプログラムを考えていたら、絶対に思いつかないですからね。

山田さん:そこは僕が以前、野球の担当をしていたこともあるからね。もういっそのこと、「FC今治の野球部です」って野球部作ったらおもしろいんじゃない、どう?

柳原さん:それはさすがに怒られそうですけど(笑)
でも、70歳の人が若い人たちと一緒にサッカーをするのは難しくても、キャッチボールやランニング、スポーツという広い枠組みであれば、つながりを持てることを実感しています。ただ、やっぱり僕たちはサッカークラブだから、僕らだけでそういう場を提供するのは、なかなか難しい。だからこそ、アシックスさんの存在や「アシさとクラブ」という場があることは、僕たちにとって、すごく大きいことだと思いますね。

山田さん:僕自身は、アシックスというブランドメーカーに身を置く中で、これからの時代は単にモノを売るだけでは立ち行かない、という危機感を持ってきた。いくら広告宣伝だけやったところで、なかなか購買には繋がらない。特に、スポーツに真剣に取り組む人たちのブランドスイッチは、並大抵の努力では難しいと感じていたんです。
でも今、アシさとクラブの中だったり、FC今治のコミュニティに関わる人の中での、アシックス製品のシェアはすごく増えている。情報だけではなかなか起こりえないブランドスイッチが、ここでは確実に起きている。それだけのつながりが生まれているということに、可能性と手応えを感じていますね。

「面白そう!」が人を巻き込む原動力

柳原さん:アシさとクラブの大きな魅力の一つは、次々と面白いイベントが繰り広げられていることだと思います。その多くの起点となっているのが、山田さんの「これ、面白いやん」ってどんどん湧いてくるアイデアなんですよね。
『外の視点』を持ってFC今治や今治という街を見つめてくださるからこそ、今治に長く住んでいる僕たちでは到底思いつかないような面白いアイデアがどんどん飛び出して、それがユニークな企画として実現しているのを、日々実感しています。

山田さん:吞みながらいろんな人と喋ってたらこうなってしまっただけで(笑)あとは自分が面白いと思うこと、純粋にやりたいことを言っているだけですよ。まだ実現はしてないですけど、「コンテナ船の上でリレーマラソンをしたい」とかね。

柳原さん: 山田さん、それ最初から言ってますよね(笑)

山田さん:今治にはそういう場所がたくさんあるんだから、走れたら面白そうやん。
でも、やっぱり今治でやるからには今治ならではのことを、っていう気持ちはありますね。FC今治さんの田んぼを使って「田植えラン」をしてみたり、今治造船ボート部の人にお願いしてボート体験をしてみたり、今治明徳短大の先生にガイドしてもらって今治の史跡を巡るツアーをやってみたり。

柳原さん:知らない間に山田さんの行動力でどんどん新しい知り合いが増えて、そこにFC今治の築いてきたこれまでのつながりも結び合わせながら、新しい企画が生まれていくんですよね。

山田さん:いろんな出会いや縁から、活動の幅はどんどん広がってきたね。最近では、地域で部活動に励む子どもたちのための基礎体力トレーニングが新たにスタートしたり、イオンさんと共同で子ども向け測定会を企画したりと、新しい動きが生まれてきた。
さらに、病院との連携でウォーキング講座を開催できたらという話も出てきていて、まだまだやれることはいっぱいあるなと思ってますよ。

柳原さん:アシさとクラブの活動を、これからもっと地域に根差したものにしていきたいですね。

山田さん:今治って大きな産業もあって、街としてのユニークさやポテンシャルはすごく高いと思うんですよね。僕自身も、もっと色んな場所に行ってみたいし、面白いことをみんなと共有できたらいいかなって思うんです。
ただ、今の「面白いイベントがあるから参加しよう」というのをきっかけに、将来的には「あそこに行けば誰か走っているから、誰かいるから、ちょっと顔を出してみようかな」というように、人々の日常に自然と溶け込むような場所にしていきたいね。

柳原さん:そうですね。 嬉しいことに、イベントがない日でも自主的に集まって練習するグループが少しずつ出てきています。ただ、まだまだ圧倒的に、アシさとクラブの活動を知らない人が多いのも事実。
まずは気軽に参加していただいて、もっとたくさんの方に「アシさとクラブっておもしろいな」と感じてもらえたら何よりです。

あなたもアシさとクラブに参加してみませんか?🏃

「アシさとクラブ」はアシックス里山スタジアムを拠点に、 健康・スポーツにまつわるイベントを主催しているコミュニティクラブです。

「アシさとクラブ」正式立ち上げに向けてアシさとクラブプロジェクトをスタートしました。

「誰もが一生涯、運動・スポーツを通じて心も体も満たされるライフスタイルを創造する」をコンセプトに、「アスリートクラス」「エンジョイクラス」「ウェルネスクラス」を開講。各クラス、月に2~3回のペースで活動しています。

詳しいイベントの内容はこちらからご覧ください。

取材 / 小林友紀(企画百貨)