増席工事を経て、8,848席へと「成長」を遂げたアシックス里山スタジアム。

新たにお目見えしたコンコースに足を踏み入れると、新しく並べられたお手製ベンチの脇を、心地よい風が通り抜けていきます。

スタジアムがまたひとつ大きくなり、新たな歩みを踏み出した2026年8月4日。メディアや関係者にお集まりいただいて、「アシさと成長報告会」を開催しました。

これまで地域とともに積み重ねてきた歩みと、確かな手応え。そして「成長するスタジアム」のこれから。熱気あふれる報告会の様子をお届けします。

増設したアシックス里山スタジアム全景

「熱響」を生む、8,848席への挑戦

今回完了した増席工事により、観客席数はこれまでの5,316席から3,532席増え、約1.66倍となる計8,848席へとスケールアップを遂げました。設計・施工を合わせ約14ヶ月、事業費約8.55億円をかけた一大プロジェクトです。

増席にあたって最も大切にしたのは、バックスタンドから望む今治の街並みや海、そして美しい島々が織りなす雄大な「借景」を守ること。

南北のゴール裏に新たに誕生した13段のユニットスタンド。その最上段に立つと、視界いっぱいに広がる絶景とともに、適度な傾斜が生み出す臨場感あふれる観戦体験が待っています。

ゴール裏南

さらに、スタンドの下に広がるコンコースは、日よけや雨よけの役割を果たすだけでなく、カフェ「里山サロン」のサテライト店舗や、休憩にももってこいの木製ベンチを設置。試合のない日でも、地域の人が自然と集い、心地よく過ごせる空間としてデザインされています。

ゴール裏南コンコース

報告会のなかで、マーケティンググループ・阿部珠恵さんはこう語りました。

「増席によってゴール裏席からの声援が壁のように跳ね返り、ピッチへと響き渡るようになります。まさに『熱が響く』という言葉の通り、スタジアム全体が熱響に包まれる試合日をつくっていきたい」

ハード面での進化は、まさに試合日に圧倒的な熱量が渦巻く「熱響」のスタジアムを生み出すための、大きな推進力となっていくはずです。

株式会社今治.夢スポーツ マーケティング・グループ 執行役員 阿部珠恵

人が集まる理由は、試合だけじゃない

「試合のない日も、スタジアムは成長を続けています」

続いて語ったのは取締役・飛田隆之さんです。その言葉の通り、今回の増席工事で目指したのは、ただ単に「席数を増やす」ことだけではありません。

「365日の賑わいづくり」を掲げるアシさとでは、これまでサッカーの枠を超え、地域に根ざした多彩なコミュニティの輪を広げてきました。

アシックスと連携した「アシさとクラブ」では、ランニングや子ども向けの走り方教室などを月に10回以上開催。

「アシさとクラブ」の活動の様子

アーバンリサーチとの「TINY GARDEN by URBAN RESEARCH」では、気心の知れた仲間でひと時を過ごすガーデンパーティーのように、様々な世代の人が行き交う風景や、スタジアムでのキャンプ泊がすっかり定着しつつあります。

TINY GARDEN by URBAN RESEARCHで開かれた「小さな音楽祭」の様子

さらに、東京藝術大学や愛媛県と連携した「アートベンチャーエヒメ」の取り組みや、隣接するイオンモール今治新都市にこの春開業した「しまなみ木のおもちゃ美術館」でのおもちゃ学芸員の皆さんとの連携、スタジアムの畑で育てる葡萄からのワインづくり「ヴィンヤードクルー」の活動など、地域と重なり合う接点は多岐にわたります。

ヴィンヤードクルーによるブドウの収穫の様子

「『サッカーには興味がないけれど、アートには興味がある。』『畑ならやってみたい』『犬の散歩にちょうどいい』。そうやっていろんなきっかけをつくり、顔の見える関係性を育んでいきたい」(飛田さん)

365日、人が集う場所へ。

スタジアムという空間が大きくなるのに合わせ、そこで生まれる過ごし方や体験、そして人と人とがゆるやかにつながり支え合う関係性もまた、成長していきます。

株式会社今治.夢スポーツ 取締役 飛田隆之

「成長するスタジアム」は、これからどこへ向かうのか

報告会のなかでは、アシックス里山スタジアムが描く「これからの姿」についても触れられました。

クラブが目指すのは、「365日、誰もが関われるコミュニティ」をさらに大きく広げていくこと。その未来へ向けた構想として、年内を目標に「オンラインプラットフォーム」の開設と「FC今治コミュニティ会員制度」を準備中です。

ランニングやアート、ワインづくりなど、この場所で芽生えた様々な活動や関係性を、デジタルの力で横断的につなぐことができないか。そんなアイディアをきっかけに、仕組み作りをスタートしています。

オンラインプラットフォームの活用イメージ

これが整えば、今治の街に暮らす市民の皆さんはもちろん、全国、さらには世界中にいる「FC今治の理念に共感する仲間たち」が、いつでも、どこからでも、スタジアムやクラブづくりにアイデアを出し合い、支え合えるようになります。

「単純に人が賑わうだけではなくて、顔の見える関係性を作っていきたい。その先には、共に助け合う、支え合う、そういう共助のコミュニティが作れると思っています」(飛田さん)

地域の人々、ファン、パートナーの皆さんと「手を取り合って、新しい社会を一緒につくっていく」ために。

ハードの完成を新たなスタートラインとして、リアルとデジタルを溶け合わせながら、アシックス里山スタジアムの進化はこれからも続いていきます。

みんなで育てる、「成長するスタジアム」

報告会の締めくくり、矢野将文社長は力強く語りました。

「私たちはまだまだ発展途上のど真ん中にいます」

株式会社今治.夢スポーツ 代表取締役社長 矢野将文

振り返ればアシックス里山スタジアムは、最初から完璧な姿で生まれたわけではありません。資金調達、増築、そこに設置する備品の一つひとつに至るまで、株主やパートナー企業、自治体、そして何より地域住民やファン・サポーターの深い共感と協力によって、「奇跡のような」歩みを重ねながら成長してきました。

2026年8月15日のホーム開幕戦でのスタジアム

8,848席への増席は、ゴールではなく新たな物語の始まりです。

人と人が出会い、共に助け合い、心の豊かさを育んでいく場所へ。未完成だからこそ面白く、「成長するスタジアム」の歩みは、これからも今治に関わるすべての人とともに紡がれていきます。

FC今治コミュニティ 編集部  
小林友紀(合同会社企画百貨)