今年も豊作!FC今治の田んぼに実った、親子で育てたお米の一年
今年も「FC今治田んぼ」が収穫のときを迎え、無事に新米のおいしさをみんなで分かち合うことができました。どろリンピックや田植え、稲刈りでは、子どもたちが泥まみれになって大はしゃぎ!家族や友人と手を取り合い、参加者同士で笑顔を交わしながら、自分たちのお米を育てる喜びを体感しました。
「自分で植えたお米が食べられるなんて、最高!」
今回は収穫の喜びとわくわくを胸に、新米を味わった3組の親子を突撃!田んぼでの奮闘や自分たちの育てたお米を口にしたときの感動を語ってもらいました。

サッカー観戦から田んぼへ、自然と広がった応援のカタチ
鎌田さん・川原さん親子

最初のきっかけは、クラブからの招待でした。FC今治のホーム戦で味わったスタジアムの熱気にすっかり魅了され、それ以来、試合観戦は家族の楽しみのひとつになっています。
「サッカークラブなのに、サッカー以外のこともたくさんやっている。
いろんな活動があって、どれかしら“自分にヒットするもの”が見つかる気がするんです」と鎌田さん。
その感覚が、今回の米づくりにも自然につながりました。
仲良しの川原さん家族も誘って、どろリンピックには母子で、草刈りや稲刈りには子どもたちが参加。泥まみれで「親も童心に帰って」遊びながら、お米のできる過程を体験しました。

収穫した新米を口にしたとき、子どもたちから思わず出た言葉は
「うまい!」「甘い!」
「やってみないとわからない経験ばかり。楽しみながら“食べ物って大事なんだな”って自然と学べる時間でした」
今治で暮らしていると田んぼは身近な景色。
でも、休耕田が増えていくのを見ると「もったいない」と感じることもあったそうです。
「だからこそ、こうして手を動かしながら田んぼと関われることがありがたい。来年もまた参加したいですね」

“自分で作ったお米を食べたい”
国延さん親子

小1の洸くんと小3の良くん兄弟は、どろリンピックから田植え、そして稲刈りにも参加。この日の収穫祭は、お兄ちゃんが腹痛を抱えながらも「作ったお米を食べたい!」とあきらめずにやって来ました。
兄弟は幼稚園の頃からFC今治のサッカースクール生。
さらに小学校入学後は、FC今治が運営するしまなみ野外学校が展開する“しまなみアドベンチャー”にも参加し、自然の中で思いきり遊ぶ時間を楽しんできました。
一家が今治に移住してきたのは5年前のこと。京都出身のお母さんは男の子3人を育てながら、「自然に触れさせたい。でも私は自然遊びがあまり得意じゃなくて…」
という葛藤を抱えていたといいます。
そんなとき出会ったのが、しまなみアドベンチャー。都会では高額な自然体験が、今治では身近にある。「ありがたいですよね。本気でどろんこになって帰ってきます」と笑います。


そんな中で届いた“米作り体験”のお知らせ。
「米や食べ物がどうやってできるのか、やってみないと子どもは分からない。でも、農家の知り合いもいないし、子どもに体験させたいと思っても、正直無理だと思っていました」
まさに願ってもない機会でした。
食が細かったお兄ちゃんが、この体験を通して「お米が食べたい」と自分から言うようになったこと、その変化が、何よりもうれしい出来事でした。

自然体験で見える、子どもの“キラキラ”
井上さん親子

スポーツ観戦好きのお父さんの影響で、いつもFC今治を応援してくれているみずきさん。推しはダニーロ選手!そんなみずきさんが、今年初めて田植えに挑戦しました。
実は、もともと汚れるのがあまり得意ではなかったみずきさん。
お母さんも「大丈夫かな?」と不安があったといいます。
でも、本人は迷わず「行きたい!」
「心配だったけど、ニコニコで帰ってきたんです」とお母さん。この日も自分が植えたお米の味を「おいしかった」と笑顔で話してくれました。
昨年は保育園でFC今治が指定管理するしまなみアースランドのプログラム”moricco”に参加し、「虫と友達になった」というみずきさん。その頃から、初めての場所でもぐいぐい進むようになり、挑戦心に火がついたように見えるといいます。そのとき見せた「たくましさ」が、今回の挑戦にもつながっていたのかもしれません。

保育士として働くお母さんは、moricco体験へ園児を引率する機会もあるといいます。
「いつもと違う自然の中では、子どもたちのスイッチが入る瞬間があります。普段は見れないようなキラキラした表情や、おとなしい子が『これなに?』と自己主張する場面も出てくるんです」


最初は「なぜサッカークラブが自然体験を?」と不思議に思ったそうですが、今ではサッカーも自然体験も、子どもたちの世界が広がる取り組みに共感しているといいます。
「FC今治の裾野の広さって、本当にすごいなと思います。サッカーに詳しくなくても、興味がなくても、地域みんなでFC今治とつながって応援できる環境があるんですよね」
「たとえば、自然体験に夢中になったあとに『あ、これって実はFC今治がやってたんだ』と気づいて、そこからサッカーに興味を持つ子もいたり。地域全体でクラブを支えている感じが、まさに裾野の広さを表していると思います」

新米に込めた思いを、みんなにも
収穫した新米は、ただ食べるだけでなく、ホーム戦に来てくれるサポーターにもおすそ分け。参加してくれたみんなで、カードにメッセージを書きました。
「いっぱい食べてね!」「おいしい新米をどうぞ!」
「みんなでFC今治を応援しよう!」
自分たちが育てたお米への感謝や喜び、そして応援の気持ちを込めながら、丁寧にカードに向かうみなさんの表情は、とても真剣で、でもどこか誇らしげ。書き終わったカードを手にすると、自然と笑顔がこぼれます。
この小さなメッセージカードには、田んぼで過ごした時間や手で育てた経験がぎゅっと詰まっています。


最後に
今年もFC今治の田んぼには、たくさんの笑顔と成長が実りました。泥だらけになりながら夢中で遊んだ子どもたち、大切な思い出を共有したご家族、そして参加者同士がつながる時間。そんなひとつひとつの瞬間が、新米と同じくらい、かけがえのない宝物になりました。来年もまた、この田んぼで新しい笑顔と発見が生まれることを楽しみにしています。
取材 / 小林友紀(企画百貨)